もともとボクは、お米づくりが好きで好きでたまらないという気持ちで農業を始めたワケではありません。指示された作業をただこなすだけの毎日で、イネが育つ素晴らしさにも気づかずにいました。
就農4年目にシェフと出会い、イタリア米のことを知りました。西洋野菜が日本でも作られてるので、お米も出来るだろっという簡単な思いで始めたイタリア米づくりですが、栽培方法はゼロからのスタートです。
種をまいてみても、芽が出るか不安で不安でたまりませんでした。通常、種まきをしたら出芽器という暗い部屋で2晩あたためます。その出芽器を何度も何度もチェックしてまわりました。(ちゃんと出てくれるかな~)という気持ちや(出芽器はキチンと動いてくれてるかな~)という不安で、チェックしなければ気がすまなかったんです。
無事に芽が出てくれた瞬間、その時の感動は、今でも忘れることができません。改めて植物の芽が出る神秘というものに、驚かされました。秋に収穫した時も、シェフにとても驚かれ、「まさか出来るとは!日本で誰も作ってなかったから、出来ないものかと思ってた」と喜ばれ、自分が育てたもので感動してもらえるって、こんなに素晴らしいことなんだなと気づかされました。
お米づくりを、指示された作業をただこなすだけのものから、好きで好きでたまらないものに変えてくれたのが、このイタリア米です。